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会計用語集

会計用語:DCF法

収益資産の価値を評価する方法の 1 つ。具体的には、株式や不動産その他多様な投資プロジェクトの価値を算出する場合に用いられる。Discounted Cash Flow 法の略で、ただ DCF とだけいう場合も多い。ウィキペディアより

これだけ読んでもわからないと思いますので、身近な例で考えてみましょう。

例えば、毎年10,000円が今後3年間もらえる権利を手に入れたとします。そうすると、その権利の価値は、いくらになるでしょうか。
単純計算では毎年10,000円が今後3年間にわたってもらえるので、10,000円×3年間で30,000円になりますよね。

でもこれだと少しおおざっぱすぎるので、もう少し厳密に計算しようというのがDCF法です。
「厳密に」というのはどういうことかというと、利率や金利というものを含めて考えましょうということです。

では、前提条件として、今、世の中の金利が5%だとします。(今の日本では考えられませんが、わかりやすい例として5%としますね)

銀行に10,000円を預けておくと、1年後に10,500円になるということですね。
そうすると、1年後にもらえる10,000円というのは今いくらでしょうか。

今現在の10,000円というのは1年後に10,500円になるから、今現在では10,000円という価値だということですよね。そうすると、1年後にもらえる10,000円というのは、今現在10,000円の価値はあるのでしょうか。

答えはNoですよね。1年後に10,000円の価値があるものというのは、今現在では、10,000円を5%で割り引いた10,000円÷1.05=9,524円の価値しかないということです。今現在の9,524円が1年後に10,000円なるとも言えますね。

このように、利息や金利を含めて考えてみると、より正確に価値が計算できるようになります。
ある企業の価値を測るときには、その企業が将来生み出すであろうお金を、利率を使って今の価値に割り引いて(ディスカウントして)あげることで、今いくらの価値があるのかが分かるということです。

では、先ほどの毎年10,000円が3年間もらえる権利の価値はいくらなのかというと、
①1年後にもらえる10,000円の現在の価値=10,000円÷1.05=9,524円
②2年後にもらえる10,000円の現在の価値=10,000円÷1.05÷1.05=9,070円
③3年後にもらえる10,000円の現在の価値=10,000円÷1.05÷1.05÷1.05=8,638円
合計①+②+③=27,232円

となります。この場合では、金利を考慮しないで計算した場合の30,000円とほとんど差異はありませんが、これが年間何百億円のキャッシュインを生む企業の価値を計算するともなると、金利や利率を考慮するかしないかでかなりの差異が生じます。

金利が低く、大きなお金を扱わない私たちの私生活では必要ないことがほとんどかもしれませんが、大きなお金が動く企業の世界では、DCF法などを使って正確に価値を計算しているということですね。

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