[数字どっとびず] 『数字はウソをつく』をもっと楽しむビジネスパーソンのための会計入門
会計用語集

会計用語:繰延資産

繰延資産の定義は、企業会計原則というものの中で決められています。
かなり読みにくく、わかりずらいかもしれませんが、ひとまず読んでみてください。

【繰延資産の定義】
繰延資産とは、すでに代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用をいう。(企業会計原則注解・注15)

これだけをいきなり読んでも全くわからないと思いますので、一つ一つじっくり見ていきましょう。

条件①
すでに代価の支払いが完了しているか、支払い義務が確定している費用であること。

条件② 
すでに支払いまたは支払義務に対する役務の提供を受けていること。

条件③
すでに支払った代価について役務の提供を受けたにもかかわらず、その後もその支払いの効果が将来にわたって続くこと。

これらの条件をすべて満たすものが繰延資産となります。
でも、これだけではどんなものなのか想像できないと思いますので、具体的な例を考えてみましょう。

私生活でいうなら、例えば講座を受講して、何かの資格取った時のその受講料は繰延資産ということができると思います。

上記の条件に当てはめて考えてみると、

まず、講座を受講するために代金を支払った時点で、条件①を満たすことになります。
次に、講座を受講することで、この支払った代金に対して、講座の受講という役務の提供を受けることになるので、条件②も満たします。
そして、受講したことでその資格に合格できた場合、その資格を利用してその後も様々な効果を得ることができますよね。なので、条件③も満たします。

このように、すでに支払った費用で、当初の目的だった役務は提供されたのだけれど、その後もその支払いの効果が続くものを繰延資産と呼びます。

ちなみに、ここで講座を受講して資格試験に合格できなかった場合には、もちろん支払った費用は繰延資産とは言えません。ただの受講料という費用になります。

資格試験に合格することで、その受講料は将来にわたって効果を発揮する資産になるわけです。
そう考えると、資格試験は、受講料を費用にするか資産にするかの戦いといえるかもしれませんね。

メニュー